7 自転車

この話は湯楽里の常連さんに聞いた出来事である。
その日も太陽の光がまぶしいほどの快晴だった。
いつもの家事も
一段落し湯楽里に行こうとする
その瞬間だった。
「何これ−」
家の前に見たこともない自転車があるではないか。
「もしかして盗難車」
と思いつつぐっと近寄ってみると持ち主の名前が書いてある。
「きっと持ち主も困っているに違いない」
と思いさっそく電話すると
「本当ですか。昨日からずっと探してたんですよ。
本当にありがとうございます。すぐに伺います。」

とかなり喜んでいる様子だった。
そうこうしているとすぐにと取りに来られた。
しかもその手にはお礼の
「お饅頭」
まで持って。
「お礼なんて結構です」
なんて言いながらも
しっかりとお饅頭を受け取り深々とおじぎをして帰って行く持ち主を見送った。
そして部屋に戻り腹ごしらえ。
いつにもましてこういう時のお饅頭はおいしいもの。
あっという間にペロリとたいらげた。
腹ごしらえも終わりそろそろ湯楽里へと行こうとしたとき・・・
何と自分の自転車がないではないか。
「うそーもしかして盗まれた?」
とただただガク然・・・・・
しかしなにやら嫌な予感が!!
「え・もしかして・・・・・」
そうなんです。
実はこの人昨日湯楽里の帰りに堂々と人の自転車を乗って帰ってしまったんです。
もちろん湯楽里には主人の迎えを待つ自転車があった事は言うまでもないだろう・・・

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